IUSS国際土壌科学会議 本文へジャンプ

今までの国際会議

第20回 国際土壌科学会議 

開催場所:韓国、済州島
開催時期:2014年6月8−13日
メインテーマ: Soils Embrace Life and Universe
詳細情報: http://www.20wcss.org/


国際土壌科学連合(IUSS)世界土壌炭素会議 

開催場所:マディソン市(米国)
開催時期:2013年6月3−6日
詳細情報:
http://iuss-c-conference.org

参加国数28か国,参加者数129名,うち日本人参加者8名
報告についてて以下をご参照下さい: http://www.scj.go.jp/ja/int/haken/130603.html


ISFS(International Symposium of Forest Soils)

IUSSのWG(Forest soils)が後援する
ISFS(International Symposium of Forest Soils)が、
中国瀋陽で2013年9月16-20日開催されました。
詳しくは以下のホームページを参照下さい。
http://casiae2012.csp.escience.cn/dct/page/65589


ISFSに関しては、詳しくは、
土壌肥料学雑誌(78(6)、644、2007)仁科一哉さんの記事もご参照下さい。


第4回 欧州土壌科学連合 (EUROSOILS 2012)


2012年7月2-6日イタリア、バリにて開催予定
要旨申し込み締め切り2011年10月10日
詳しくは下記をご参照下さい。
http://www.eurosoil2012.eu/d/6/Call_for_Abstracts
リーフレット (PDF) 



第19回 国際土壌科学会議


時期:2010年8月1日〜6日 
場所:オーストラリア・ブリスベン
参加者:約50カ国から約2000人
(日本からの発表件数:約100件)

土壌は貴重な自然資源であり、農業生産の基盤でもあり、様々な生態系サービスを提供してくれる。今回の会議においては、前回の会議(2006年7月にアメリカ合衆国フィラデルフィアで開催)から4年間で蓄積された最新の興味深い成果の発表により、土壌科学研究の潮流が実感された。330の口頭発表と1100のポスター発表によって、会場である Brisbane Convention and Exhibition Centre には知識の交換の場として非常に活気ある雰囲気が形成されていた。「生きている地球の皮膚」といわれる土壌をより深く理解することがどれくらい重要であるかは今回の会議のテーマであった「変動する世界への土壌科学からの解法」によってよく理解された。  

開会式では英国王室の流れを窺わせる州総督の開会宣言でも農業および土壌の重要性に触れられ、また農業の草創期を思わせる原住民アボリジニの歓迎の踊りや音楽も披露されたことは感慨深い。

IUSS名誉会員として2年前の中間会議で熊澤喜久雄東大名誉教授と久馬一剛京大名誉教授がその功績に対し選出されており、今回の晩餐会で満場の拍手で祝福された。

初日の基調講演では、国際稲研究所(IRRI)の所長 Robert Zeigler博士が、耕作面積が減少傾向にある現状において、増加し続ける世界の飢餓人口にどうやって対処するか、について講演した。世界の約半分の人々にとって主食であるコメの問題はますます複雑になっており、問題解決のためには、より学際的分野におけるつながりが必要とされている。気候変動のダイレクトな負の影響の1つとして、多くの東南アジア諸国においてコメの収量損失につながる夜間気温の上昇が挙げられた。また、博士は稲作にとっては水危機も重要な課題であると指摘した。そして、AWD(Alternate Wetting and Drying)と呼ばれる水稲の間断灌漑技術は従来の灌漑技術と比較潅漑用水の30%を節約できること、また AWD によりもたらされる好気的期間の増加によってメタン排出量の かなりの削減も可能であることを述べた。

次いでNeil McKenzie博士(豪、CSIRO)が世界の人口増加が2050年に92億で安定するという国連の中間シナリオを紹介し、私たちが少なくとも2050年までにやらなければならない急を要する対応の一つは、多くの穀物の実際の収量と潜在的な収量のギャップを減少させることである、と述べた。高度な植物バイオテクノロジーにより高収量のハイブリッド穀物は実現したが、これらハイブリット穀物が持つ潜在的な収量を完全に実現させることはできていない。そこで博士は、これら新しい高収量のハイブリット穀物が持つ本当の能力を「目覚めさせる」ために土壌−農業生態系研究にシフトしていくべきである、と指摘した。

今回の会議では、オーストラリアを初めとする各国政府が土壌管理手法の改善を目指して、各種の情報の集積、研究の推進、現場での活動を促進し支援していることが印象的であった。国レベルだけではなく地方政府や民間レベル、農業団体、土地所有者、とともに国際協調も進めながら、この自然資源の保全と持続的活用を目指して活動を継続している。特に地球規模での環境問題として温暖化、森林減少、気候変動への対応や環境調和型農業の推進、土壌汚染・土壌修復などに対応した地域的技術が土壌科学の重要課題として提案されている。さらに土壌教育や社会への普及啓蒙活動、政策決定者への働きかけも重要な位置づけがなされている。

67に及ぶシンポジウムでも土壌と食糧・環境との調和的関係や土壌汚染・土壌損失、あるいは土壌の文化的意義や土壌教育の重要性、政策決定者への提言など活発な議論が行なわれた。今後、4年間あるいは更に長期的視野に立って、様々なアプローチが試みられ計画が練られた。アジア諸国からの参加者は前回より多かったが、途上国から多数が参加できる状況ではない。優れた若手研究者をも招聘できるような、また学際的横断的シンポジウムも企画できるような経済的基盤の充実が期待される。今回の会議では、地球規模での炭素循環における土壌への炭素貯留の重要性が国連などでアピールされることになった。日本土壌肥料学会刊行のSoil Science and Plant Nutrition誌がIUSS協力誌として認 定された。

次回開催予定は2014年6月8〜13日、韓国、済州島で第20回世界土壌科学会議が、また2012年には同地で国際土壌科学連合IUSSの中間会議が開催される。

(関連情報:日本土壌肥料学雑誌、国内外情報、82巻1号、83-84ページ、2011ほか)


国際土壌科学連合中間会議


時期:2008年8月1日〜6日
場所:オーストラリア・ブリスベン
参加数:17ヶ国43名、日本から2名

食糧価格の高騰や地球温暖化の懸案が高まる中、土壌科学がますます注目を集めている。2年後の第19回世界土壌科学会議の開催を控え、今回のIUSS中間会議では特に土壌資源の持続的利用と最適管理手法の検討、地球環境や地域環境との調和のとれた土壌の果たす役割、景観や生物多様性に配慮した土地利用、国際科学連合や国連各研究機関と対応した土壌学の社会への情報発信、政策決定への的確な提言へのプロセスなど、今後の重要課題について議論された。また土壌の分類、命名法などで世界標準と各国の歴史性、風土性とどう調整していくのか今後の検討課題が提示された。

IUSSの名誉会員は1924年選出のSir J Russell, Winogradskiら79名(うち逝去者は石塚先生含め51名)に及び、土壌科学への功績をたたえているが、日本からは1997年和田光史先生と2002年田中朗先生の選出を最後に現在2名のみとなっていた。今回、日本学術会議IUSS分科会の了解を得て、熊沢喜久雄先生、久馬一剛先生を中間会議に推薦し、計17名の中から8名が投票により選出され、その中に両先生が含まれた。今迄のIUSS活動への貢献に感謝し、引き続きご指導を期待したい。    

IUSS役員(Divisions & Commissions Chair & Vice Chair)選挙については、事前に日本学術会議IUSS分科会で推薦名簿の作成、承認、告別投票結果の報告をIUSS事務局へ送付、取りまとめが今回中間会議で承認され、別記の通り日本人が3名選出された。                                

韓国と日本が共同提案した水田土壌ワーキンググループの設立が承認され、そのChairとして日本側からの推薦が認められた。  

2年に一度、各国代表者が一同に会する執行委員会では山積する重要課題を学会長、事務局長、名誉会員代表らが準じ提案し、審議が進んだ。事前の書類準備は日本側でもとりまとめに一年以上を要し、日本学術会議IUSS分科会での定期的な委員会活動が重要であることを改めて認識した。                      

土壌科学は基礎土壌学ペドロジーを始め、応用土壌学、肥沃土論、化学、物理、生物、地学、地理学、工学と多岐にわたり、社会貢献も今後さらに重要度を増すことが痛感された。


第18回国際土壌科学会議

時期:2006年7月9日〜15日
場所:アメリカ・フィラデルフィア
参加数:   日本から約100名
テーマ:Frontiers of Soil Science:Technology and the Information


4年に一度開催される土壌科学最大の研究集会であったため、開催地米国はもとより世界各国から多数の研究者が集まった。その中で日本からは約100名の参加があり、国別参加者では米国に次ぎ第二位であった。特に大学院生や若手研究者の活躍が目立ち今後が期待される。次々回の開催地が韓国に決まり、日韓学術協力もますます重要となろう。ただ全般には、まだ欧米中心の体制であり、継続的な国際活動支援が不可欠であると感じられた。

国際土壌科学連合中間会議

時期:2004年4月25日〜29日
場所:アメリカ・フィラデルフィア
参加数:25ヶ国70名

WCSSの中間会議が開催予定地のフィラデルフィア国際会議場に隣接したマリオットホテルで行われた。フィラデルフィアはニューヨークとワシントンDCの中間に位置する全米第5位の大都市であるが、何より合衆国独立宣言が採択されたアメリカ生誕の地として有名であり、歴史的建物も会場から徒歩で行ける範囲に多く存在する。独立宣言の折、高らかに鳴り響いた「自由の鐘」も歴史記念公園に象徴として保存展示されている。

この中間会議では、まずCouncil Meetingで前回のバンコック大会で選出されたSparks会長とNortcliff事務局長の進行でバンコクでの同会議議事録の承認、ロンドン理事会報告(会計・部門名変更など)、ISSS(国際土壌学会)からIUSS(国際土壌科学連合)への変更完了報告と続いて、IUGS(国際地理学連合)との連携強化、大会運営資金などに関する規約改正、名誉会員の選出方法の審議、学会賞の選出方法、ワーキンググループの昇格と休眠グループへの対応、第19回オーストラリア大会(2010年)へ向けて次期会長副会長候補者の批准と大会準備報告、第20回2014年大会への立候補国(韓国)の提案などが審議された。今回は韓国以外から提案はなかったものの正式決定は2年後なのでその半年前までに招致候補国は事務局へ提案書を出すことが確認された。

日本からの推薦者はなかったが9名の名誉会員が選出された。規約改正に伴って名誉会員の総数が増加したことから、3年後の推薦に向けて早めに準備すべきであると感じた。同様に各部会長部門長などの選出についても対応策を早急に練るべきことと思われた。バンコク大会で新設されたIUSS Awards (Dokuchaev AwardとLiebig Award)については受賞候補者の推薦書を各国代表機関から1年以内に選考委員長Blum氏宛に送る選考規定と内規が承認された。また若手対象の賞も今後検討されることになった。

その後Council Meetingでは部門部会の変更が討議され、副部門Bの「微細形態学」が第1部門第1部会の「形態学」に統合され、ワーキンググループの「ペドメトリックス」と「古土壌学」がそれぞれ第1部門の新部会に、またワーキンググループの「無機有機界面相互作用」が第2部門の新部会にそれぞれ昇格することが承認された。一方、休眠状態のワーキンググループには2年後までに活動報告を出すことが求められている。

Council Meetingと平行して開かれたDivision Meetingでは次期大会プログラムが審議され、昨年末までに出された90近くのシンポジウム提案課題を会期・会場の関係で60以下に絞る必要があり、相当数が整理された。その中で土壌肥沃度と植物栄養に関する部会でのシンポジウム案(問題土壌における植物のイオンストレス応答と耐性作物の開発、岡山大学松本教授提案)についてはポスターシンポジウムに採択された。植物病理についてのシンポジウム提案は犬伏がco-convenerとなり、また根圏のシンポジウムや土壌微生物生態への分子生物学的アプローチについても開催されることとなった。さらに放射性元素の土壌中での挙動、温室効果ガス放出と土壌物理性との関係、なども採択された。またポスター賞も継続される。

参考資料:学術の動向2005.12 日本土壌肥料学会誌75巻4号 



第17回国際土壌科学会議(バンコック大会)



時期:2002年8月14日〜21日
場所:タイ・バンコク
参加数:100ヶ国以上から約2250名、日本から120名
テーマ:
  Soil Science : Confronting New Realities in the 21st Century


アジアでは第14回(1990年)の京都での開催に次いで熱帯農業国タイで、21世紀最初の会議となった。これまでの土壌学研究が国ごとの農業生産に寄与する研究、例えば国ごとの土壌肥沃度調査と土壌分類、土壌肥沃度の要因としての土壌微生物活性と養分動態、肥料の利用法などが、重要課題とされてきた。これに対し今後は人類が生存する地球のコンポネントの大気と水に加えて土壌のグローバルな役割と世界(特にアジア、アフリカの熱帯域)での食糧の持続的生産のための土壌科学、そして土壌そのものについての基礎科学を目指すとされた。

この新しい動向は、シンポジウムの課題として、土壌中物質、特に汚染化合物の特異な移動、地形と土壌、土壌構造からみた土壌の理化学性判定法、熱帯土壌の有機物と炭素シケストレーション、グローバルな気候変動と土壌反応、土壌汚染化合物の同定や土壌修復確認のための新しい分析法、土壌肥沃度の生態学的・持続的概念、半乾燥土壌の研究強化、などにもみられた。

土壌のグローバルな役割、例えば炭素のシケストレーションや物質(汚染質を含む)の循環などについての情報を土壌学者が積極的に社会に提供する、土壌学がこれまでに集積したデータと知見を総合して政策決定者に重要な提案をする、初等教育から土壌を重要な対象に位置付けることなど、土壌学の社会的、政策的寄与について活動が始まった印象を受けた。また土壌学は20世紀の緑の革命に寄与したが、これまでの土壌学は温帯先進国のものであり、今後アジア、アフリカの食糧生産を増すためには、熱帯土壌、特に有機物管理の研究を進めることの重要性が強調されていた。

本会議では、6会場で65のシンポジウムが、またその間にポスター発表が行われた。シンポジウムやポスター発表で、日本の若い研究者が、日本国内のテーマよりも、アジア、アフリカの農業や環境保全に関係する土壌研究について発表しているのが印象的であった。確かに本会議は国際会議であり、開催地がタイであることもあるが、日本の研究者による土壌研究も、若い研究者が率先してグローバルな土壌、環境、農学への視点と研究の場を移しつつあることを強く感じた。


参考資料:学術の動向2003.7