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事務局より

2019年度土と肥料の講演会報告

2019年度「土と肥料」の講演会 (2019.5.11)


 総会後に、「土と肥料」の講演会を同会場で行いました。

 米価の低迷や農業者の高齢化などを背景とした土づくりの減退が続いています。それに伴い懸念される事項として、腐植や地力窒素の低下、可給態ケイ酸の不足、pHの低下などの進行がしばしば指摘されるところですが、その他にも田んぼの土の変化によると考えられる作物へ影響が顕わになりつつあります。

 例えば、平成11~15年に行われた全国規模の調査によれば、水田調査地点の約3割がカリ過剰であり、平成20年の肥料高騰時にはリンとともにカリも減肥対象候補とされました。しかし、食味重視の点から窒素追肥量が減り、従来NK肥料として追肥時に施用されていたカリの施用量も減るなかで、土の保肥力や灌漑水質などの条件によっては、水稲のみならず輪作される大豆や麦にもカリ不足の影響が認められる例が生じています。そこで中田均氏 (富山県農林総合技術センター)に、富山県におけるカリ不足土壌の現状と課題について講演いただきました。中田氏は、富山県ではカリの土壌改良目標値を下回る土壌で、水稲、大豆および大麦栽培時にカリ施肥量が少ないと収量低下が見られることを報告されました。そしてその対策として、カリ含量を高めた肥料の製造・販売と、土壌の特徴に配慮した上でのケイ酸カリやゼオライトの施用効果を紹介されました。

 一方、水田では秋落ちによる減収を助長しないために硫安などのイオウを含む肥料を避ける指導が従来の主流でした。しかし、近年、水稲のイオウ欠乏が原因とみられる生育停滞が散見されるようになっています。そこで菅野均志氏(東北大学 大学院農学研究科)に、水稲におけるイオウ欠乏の現状と対策について講演いただきました。菅野氏は水田土壌のイオウ肥沃度は可給態イオウのみでは説明できないこと、難容性硫化物形成の考慮が必要なこと解説されました。そしてイオウ肥沃度評価として、0.1M塩酸抽出性の亜鉛、鉛、カドミウム、銅の物質量合計が可給態イオウの物質量を上回る水田ではイオウ欠乏が発生し、それ以外の場合でも可給態イオウが一定水準以下であればイオウ欠乏の懸念があるとする判断方法を紹介されました。そして岩手県の水田土壌の調査から、イオウ不足による水稲の生育抑制が懸念される水準にある水田が少なくないこと、可給態イオウの本格的な広域評価が必要なことを指摘されました。本講演会は、今後の水田における土と肥料について考える貴重な機会となりました。講演者と参加者の皆様に感謝申し上げます。


日 時 : 2019年5月11日(土)14時30分~16時

場 所 : 東京大学山上会館(〒113-8654文京区本郷7-3-1)

テーマ : 田んぼの土と肥料を考える ~カリとイオウの不足を例として~

講演者と演題

 中田 均 氏(富山県農林水産総合技術センター)
  「富山県におけるカリ不足土壌の現状と課題」

 菅野均志 氏(東北大学 大学院農学研究科/農学部)
  「水稲におけるイオウ欠乏の現状と対策」


中田 均 氏


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菅野均志 氏

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