日本土壌肥料学会北海道支部 2025年度シンポジウム 土壌の生物性 -制御と活用に向けた土壌肥料学的アプローチの最前線-

土壌の生物性は、物理性、化学性とともに、作物生産基盤としての土壌肥沃度を構成する要因のひとつである。これまで主に農業生産性向上の観点から、有機物分解や作物への養分供給、また土壌病害の発生に関連する微生物等に着目し、多様な研究が展開されてきた。得られた研究成果は、食料の安定生産に対してはもちろん、昨年度の支部会シンポジウムのテーマとした「土壌の健康(土壌が陸上生態系の生産性、多様性、環境サービスを維持する能力)」の向上にも大きく貢献している。

このように土壌の生物性は食料生産を含む陸上生態系の機能発揮に重要なことは論を待たない。一方で食料生産に注目すると、土壌の生物性は、多様性ゆえの生物同士、土壌環境、作物根との複雑な相互作用により人為的な制御が容易ではなく、農業生産上の活用が困難であることは否めない。

このような中、近年、根圏での微生物による作物根への養水分供給動態や、根・土壌・微生物間の相互作用などの研究が深化し、これらの動態を可視化することが可能となりつつある。これらの知見は、有用微生物の機能を発揮させるための土壌環境の創出や作物への養分供給源としての活用、さらには土壌病害の発生機作解明による新たな病害抑制技術開発につながる可能性等を有しており、微生物の機能を活用した環境に優しい持続的農業への展開が期待される。

そこで本シンポジウムでは、「土壌の生物性 -制御と活用に向けた土壌肥料学的アプローチの最前線-」と題し、アーバスキュラー菌根菌の働きと根圏における作物根・土壌・微生物間の相互作用に関するそれぞれの最新知見、微生物バイオマスのカリウム供給源としての機能、さらには10年前に北海道で初めて確認されたジャガイモシロシストセンチュウの耕種的防除について4名の演者からご紹介いただき、土壌生物性の制御と活用に向けた研究の最前線を共有するとともに、今後の研究と技術開発の展望について議論したい。

日時
2025年12月3日(水)13:30~16:30

場所
道民活動センター かでる27 820研修室

座長
ホクレン 奥村正敏 氏、道総研農研本部 富沢ゆい子 氏

次第

  1. 趣旨説明
    道総研農研本部 中辻敏朗 氏
  2. 作物生育に対する菌根菌の働き
    酪農学園大学  小八重善裕 氏
  3. 根と土壌と微生物との相互作用
    北海道大学   丸山隼人 氏
  4. 作物へのカリウム供給源としての微生物バイオマス
    名古屋大学   浅川 晋 氏
  5. 対抗植物を活用したジャガイモシロシストセンチュウの防除
    道総研中央農試 小野寺鶴将 氏
  6. 総合討論
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