土壌教育活動だより 85-2
土壌教育委員会では,3月,「土壌の観察・実験テキスト-自然観察の森の土壌断面集つき-」を1000部,作製,発行した.このテキストは,2006年に発行した「土壌の観察・実験テキスト-土壌を調べよう!-」の一部を修正し,付録として全国10か所の自然観察の森の断面集を収録して作製したものである.今後,各地の観察会で活用するとともに大会などで希望する会員への配布も行う.また,広島おおの自然観察の森に,土壌断面の説明等が書かれた野外観察板を設置し,それに併せ寄贈式および土壌の観察会を行った.
会員の活動を紹介する.宇都宮大学農学部土壌学研究室の学生5名(指導教員:平井英明氏)は,2月24日,栃木県那須烏山市立境小学校において里山授業を実施した.対象は,4年生と5年生の34名であった.内容は,①家族が食べているお米の面積の計算と体感,②異なる品種の米の食味試験,③身近な里山と都会の相違に関する意見交換,④里山の大切さをスライドを用いて小学生に伝えるという内容であった.特に①では,米を生産する土台となっている土の恩恵を実感できる内容とした.福田直氏(武蔵野学院大学)は,11月30日,埼玉県狭山市智光山公園で開催された「子ども大学さやま」において,「狭山の自然について5感を使って観察しよう!~見て・触れて・聞いて・嗅いで・味わって観察~」を実施した.参加者は小学生53名,保護者21名であった.内容は,①土壌断面作成・観察,②土の色や感触・匂い,落ち葉のゆくえ,土の生物探しなどの体感③実験室での土壌動物の観察④土に関する講話であった.また,同氏は,1月21日,埼玉県立岩槻高等学校において,「21世紀の地球課題-食糧問題と土壌-」と題した講演を行った.対象は,国際文化科の生徒であった.講演後,生徒たちは,飢餓人口10億人,地球耕作地の4割劣化,表土侵食,古代文明と土壌などの内容に強い関心を寄せていた.
平成26年度土壌教育委員会委員,学会担当理事は以下のとおり.平井英明(委員長),田村憲司(副委員長),菅野均志(HP担当),福田直(以上会長委嘱),安西徹郎(学会副会長),筒木潔(北海道支部),松山信彦(東北支部),赤羽幾子(関東支部:事務局長),瀧勝俊(中部支部),藤間充(関西支部),森裕樹(九州支部).田中治夫(担当理事).
土壌教育にかかわる活動をされた会員の方は,支部選出の土壌教育委員までお知らせ下さい.委員の連絡先は,土壌教育委員会のウェブサイトhttp://jssspn.jp/edu/の「委員のページ」をご覧ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第85巻第2号 掲載)