土壌教育活動だより 88-5
土壌教育委員会の活動を報告する.仙台大会期間中の9月5日,東北大学大学青葉山新キャンパスのポスター会場にて,高校生ポスター発表会を開催した.全国より21課題(15校),多種多様な内容の発表があった.コアタイムでは,学会員の質問に高校生が熱心に答えていた.学会長,大会実行委員長および土壌教育委員の審査により,最優秀ポスター賞1課題(青森県立名久井農業高等学校)および優秀ポスター賞3課題(兵庫県立篠山東雲高等学校,北海道北見北斗高等学校,宮城県仙台二華高等学校)が選ばれた.表彰式では,犬伏学会長(千葉大学)より賞状と副賞が授与された.
次に委員による土壌教育活動を紹介する.1)7月16日,埼玉県立川の博物館の週末ワークショップ「土と砂って何がちがうの?」が開催され,砂・林の土・畑の土を用いた,土の粒の大きさ,土壌呼吸,保水力を比較する実験を行った.参加者は延べ60名であった.2)7月30日,同所の「夏祭り」のイベントの一つとして,「土の足ざわりを楽しもう」を実施した.畑の土と田んぼの土を足で踏み,土の感触を楽しんでもらう内容に計58名の参加があった.3)8月3日,同所にて,岩倉高校(東京都台東区)理科部合宿の実習として,土壌断面観察(埼玉県大里郡寄居町露梨子の黒ぼく土の畑)および,砂と断面の土を用いた土壌緩衝能の実験が行われた(生徒7名と引率教諭2名).4)8月27日,宇都宮大学農学部附属農場(栃木県真岡市)において,「泥だんごをつくろう!~あそんで学ぼう!土のひみつ~」が開催された(栃木県立博物館と共催).参加者は,幼児、児童とその保護者含めた計17名であった.農場内の雑木林の土壌断面から採取したA層,B層,C層(鹿沼軽石層)の土を用いて泥だんごを作成し,その後,その土壌断面を観察した.それぞれの層位の土およびコアを用いて,土の保水性や土の空気を実感する土壌実験を行い,表面が乾いた泥だんごをスプーン等で磨く作業を行った.1)~3)について,森圭子委員(埼玉県立川の博物館)が企画,講師を務めた.4)は,平井英明委員長(宇都宮大学)が企画を担当し,赤羽幾子委員(農環研)が当日スタッフとして参加した.1),3)において,村野宏達委員(名城大学)が,土壌観察等の様子を,4)では,土の中の空気を実感する土壌実験の動画撮影を行った.
最後に支部での活動を紹介する.中部支部では,7月23日に豊田市自然観察の森において「土壌観察会-土の不思議にせまる!-」を開催した(参加者は親子を中心に24名).講師は,礒井俊行氏(名城大学),岡村穣氏(元名古屋市立大学),瀧勝俊氏(愛知県農業総合試験場),大橋祥範氏(同),堂本晶子氏(三重県農業研究所),山崎真嗣氏(岐阜県環境管理技術センター)の6名であった.内容は,森の中での植物と土の観察,室内実験(吸着・土壌動物),ミニモノリス作りであった.この事業は,今回が12回目である.
土壌教育にかかわる活動をされた会員の方は,支部選出の土壌教育委員までお知らせ下さい.委員の連絡先は,土壌教育委員会のウェブサイトhttp://jssspn.jp/edu/の「委員のページ」をご覧ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第88巻第5号 掲載)