土壌教育活動だより 91-1
委員会による活動を紹介する.土壌教育委員会は,(公財)日本環境協会「こどもエコクラブ」が主催する全国一斉活動「大地を感じ・大地を知る ジオアクションJAPAN」(http://www.j-ecoclub.jp/topics/info/201910101000.html)で使用するテキスト作成への協力と監修を行った.ジオアクションは,全国共通で行われる「どろだんご作り」と各クラブで自由に取り組む「フリー・ジオアクション」の2つが用意されており,2019年10月10日から2020年1月9日までを実施期間とした.「フリー・ジオアクション」には,落ち葉めくり,土の中の鉱物探し,土の保水性,土の吸着能,土壌呼吸などを調べる内容が盛り込まれた.
委員による活動を紹介する.平井英明顧問(宇都宮大学)と森圭子委員(埼玉県立川の博物館)は,2019年4月に開催された欧州地球科学連合年次大会(EGU,ウィーン)に参加し,General Soil Science部門:Building Inter-and Transdisciplinary Bridges in Soil Science: Honoring Lily Pereg1964-2019において,それぞれ土壌教育に関するポスター発表(Setting the target of soil education based on questionnaire survey to elementary school children: A case study in Tokyo and Tochigi, Japan)と口頭発表(Suggestion to future soil education in Japan considering the current Guidelines for Primary School)を行った.森圭子委員(同)は,2019年11月16日に埼玉県立川の博物館において,トビムシ・ダニ・ワラジムシ・クマムシなどの土壌動物を実体顕微鏡で観察するワークショップ「土の中の生き物を探せ!」を開催した.ワークショップには,39名の参加者があった.さらに,2019年12月1日には,世界土壌デー記念イベントとして赤・黒・黄土色などの土を使って和紙に絵を描く「土で絵を描こう」のイベントを行った.イベントには,未就学児~小学校中学年の14名の参加があった.
支部の活動を紹介する.関東支部は,2019年11月30日の支部大会(長野市生涯学習センター)において「高校生による研究発表会」を開催した.関東支部圏の高等学校から2課題(栃木県立鹿沼南高等学会、山梨県立韮崎高等学校)がエントリーされた.当日は高校生のポスター発表と一般のポスター発表が並行して行われた.高校生と支部会員との間で熱のこもった議論が交わされ,2課題ともに優秀賞が授与された.
最後に,会員による活動を紹介する.2019年8月20日,静岡県内の農業高校・総合高校の生徒4名と教員1名を対象とした令和元年高校生アカデミックチャレンジ・チャレンジラボ「視覚でとらえる土壌の素顔-土壌と肥料と環境問題」が静岡大学農学部で開催された.南雲俊之氏(静岡大学)が講師を務め,混合色素の分離実験により土壌のイオン吸着能の特徴を学びながら,パックテストによる簡易測定も組み合わせて肥料の有効利用や環境問題と結び付けて議論した.生徒が普段あまり行わない化学系実験に主体的に取り組み,普段の授業で得られない土壌と農業・環境問題とのかかわりについての知識や新たな気づきを見いだす有意義な1日となった.
本欄では会員の皆様の土壌教育活動も紹介します.情報をお持ちの方は支部選出の土壌教育委員までお知らせください.なお,土壌教育委員会の現在の構成は公式ウェブサイトhttp://jssspn.jp/edu/の「委員」をご確認ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第91巻第1号 掲載)