土壌教育活動だより 94-5
委員および会員による土壌教育活動を報告します.谷昌幸氏(帯広畜産大学)が,JICA「持続的農業生産のための土壌診断と土壌改良技術(5月18日〜7月24日)」において,コースリーダーを務めエチオピア、ジョージア、パフアニューギニア、フィリピン、スリランカ、タンザニア、ザンビアからの8名の研修生を対象に研修を実施しています.土壌肥料学会会員関連分の内容(7月分)は以下の通りです(5〜6月分は前号に掲載). 7月6日〜7日:横井義雄氏(元道総研),島田紘明氏(帯広畜産大学),丹羽勝久委員((株)ズコーシャ)「美瑛町における灰色台地土,褐色森林土の土壌断面調査」.平井顧問は,8月26日(土)10時~12時に宇都宮大学農学部附属農場において開催された,栃木県立博物館主催の観察会「土ってすごイネ」に講師として参加しました.参加者は大人4名,子供3名でした.森林土壌と水田土壌の観察のポイントやその方法に関して,事前に平井顧問が説明を行いました.実施の担当者は博物館の職員で,森林下の土壌の説明は土壌動物の研究者が担当しました.参加者は森林土壌を観察し,その手触りを体感しました.その後,水田の土壌に素足で入って,水稲株を抜き取ることで体験的に土壌の形態と機能を学びました.堆肥連用水田,無肥料水田,化学肥料連用水田の土壌の形態を,参加者の素足で感じる方法をとりましたが,感触の違いを大人も子供も感じていたようでした.イネ株を土とともに抜き取る活動を行うことで参加者の表情がとても明るくなったと,博物館職員の方は感銘を受けられていました.
支部における土壌教育活動を報告します.中部支部では,7月23(日)に豊田市自然観察の森において「土壌観察会-土の不思議にせまる!-」を開催しました(参加者は親子を中心に12名).講師は,礒井俊行氏・村野宏達氏(名城大学),岡村穣氏(元名古屋市立大学),瀧勝俊氏(JAあいち経済連),堂本晶子氏(三重県農業研究所)の5名でした.内容は、森の中での植物と土の観察,室内実験(吸着・土壌動物),ミニモノリス作りでした.この事業は今回が17回目です.
また,同場所において,8月25日(金)に岡崎北高等学校コスモサイエンスコース1年生(36名)を対象とした「理数探究基礎」を岡崎北高校と共催、名古屋大学大学院生命農学研究科協賛で開催しました.内容は,フィールドでの植生・土壌断面観察と室内実験(緩衝能・呼吸・土壌動物)でした.講師は,浅川晋氏,渡邉彰氏,村瀬潤氏,渡邉健史氏,沢田こずえ氏,柴原藤善氏(名古屋大学),岡村穣氏(元名古屋市立大学),瀧勝俊氏(JAあいち経済連)の計7名でした.この事業は今回が15回目です.
本欄では会員の皆様の土壌教育活動も紹介します.情報をお持ちの方は支部選出の土壌教育委員までお知らせください.なお,土壌教育委員会の現在の構成は公式ウェブサイト http://jssspn.jp/edu/ の「委員」をご確認ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第94巻第5号 掲載)