指導案「地面をつくる土の粒と雨水の行方」を公表します
2017年3月に小学校および中学校の新学習指導要領が公示されました。新しい学習指導要領では、小学校の学習指導要領第4学年理科において「(3) 雨水の行方と地面の様子」が新設され、<雨水の行方と地面の様子について、流れ方やしみ込み方に着目して、それらと地面の傾きや土の粒の大きさとを関係付けて調べる活動>が明記されております。
日本土壌肥料学会は、土壌教育委員会内に作業部会を設置して新しく加わった「土の粒」に関する指導内容の検討を重ね、このたび指導案「地面をつくる土の粒と雨水の行方」を公開いたしました。
新しい学習指導要領は小学校において2020年度から全面実施の予定です。土の粒に関する教育が小学校で実施される際に、本指導案が少しでも先生方のお役に立つようであれば幸いです。
指導案「地面をつくる土の粒と雨水の行方」のダウンロード
pdf ファイル(94 KB) |docxファイル(33 KB)
本指導案作成の経緯等については、以下をご覧ください。
指導案作成の背景と目的
人類生存の基盤である「土」について、学校教育の中で教えられる機会が減少し、児童生徒の土への関心が低下しています。日本土壌肥料学会は、文部科学省に学習指導要領の土・土壌の取り扱い方について格段の配慮をお願いする要望書を関連19学会の賛同を得て2015年1月に提出しました。
2017年3月に公表された小学校学習指導要領(理科)第4学年 B生命・地球 (3) 雨水の行方と地面の様子の中において、「土の粒」が次のように新たに取り上げられたことから、本学会は研究成果を基盤とする土壌教育活動を推進する立場で、土の粒に関する教育が小学校で実施される際に先生方が活用可能な教育教材の提供を目的として、本指導案を作成いたしました。
小学校学習指導要領(理科)第4学年 B生命・地球より抜粋
(3) 雨水の行方と地面の様子
雨水の行方と地面の様子について,流れ方やしみ込み方に着目して,それらと地面の傾きや土の粒の大きさとを関係付けて調べる活動を通して, 次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 水は,高い場所から低い場所へと流れて集まること。
(イ) 水のしみ込み方は,土の粒の大きさによって違いがあること。
イ 雨水の行方と地面の様子について追究する中で,既習の内容や生活経験を基に,雨水の流れ方やしみ込み方と地面の傾きや土の粒の大きさとの関係について,根拠のある予想や仮説を発想し,表現すること。
次世代を担う子どもたちが、世界の生態系や環境および農林水産業に対する関心・理解を高めるためには、人類生存の基盤である土壌の理解と知恵を育てる教育が必要不可欠であると私たちは考えております。新しい学習指導要領において取り上げられた「土の粒」に関する指導案の作成と公表が、児童への土壌教育のより一層の推進につながることを期待しております。