出前授業(京都市) 2009-08-28
2009年8月28日に京都府教育委員会の後援をいただき,本学会初めての出前授業を開催しました。この開催は日本土壌肥料学会2009年度京都大会の事業の一環として実施されたもので,京都大学の間藤先生のご尽力により京都市立北白川小学校で実践することができました。出前授業の対象学年は第3学年(旧学習指導要領で「石と土」が扱われた学年)と第6学年(現行学習指導要領で「地層」:最表層に土があることが扱われる学年)でした。
次第
・授業時間:10時50分~12時20分の1時間30分
・授業場所:体育館
・実施学年:第3学年60名、第6学年52名
10:45 小学3年生と6年生が体育館に集合
10:50 学校長挨拶
10:55 日本土壌肥料学会土壌教育委員会委員長挨拶
11:00 授業概要説明:実験の種類と実験方法、進め方の説明
11:05 授業「土の秘密を探る」(福田,平井,鈴木,矢内)
課題1「3種類の土がどこの土かを5感で調べる」
課題2「土の粒子を観察する」
課題3「土が水をきれいにする(土の吸着)」
12:00 DVDによる土壌動物および土壌呼吸の説明(福田)
12:10 実験のまとめ:土の粒子(鈴木),土の吸着(矢内)
12:15 授業のまとめと挨拶(福田)
講師
福田 直(東京学芸大)
小林民憲(和歌山大学)
矢内純太(京都府立大)
鈴木武志(神戸大学)
平井英明(宇都宮大)
橋本真穂(和歌山県農業総合試験場)
*実験の各グループの補助に京都府立大生がついて下さった
使用テキスト
プリント「土の粒子を観察しよう!」,「土が水をきれいにする?」
教師用指導案
児童の反応
55分で3つの課題に取り組み,4グループともほぼ予定通り実験が進行し,期待された結果が得られた。児童たちは熱心に実験を行っていた。最初に「土を触りたくない」,「土は汚いもの」と思っている児童に挙手させたが,数十人が手を挙げた。しかし,土の実験ではほぼ全員が取り組んでいた。土の粒子では,重力が働いて大きい粒が早く沈み,細かい粒がゆっくり沈んで層になることを正しく答える児童が多かった。また,水面に浮いているのは枯れ葉などの有機物であると答える児童もいた,あるグループではアリが浮いて動いているのを発見し,ミミズやムカデなどがいないかを真剣に探していた。
土の吸着実験では,青インク液が土や砂を通るとその色が薄くなっていたのを見て喜んでいた。各グループとも土混じりの砂(砂場の砂)の方が林の土より吸着されていた。粘土の存在を知らない児童には砂の方が土より吸着されると捉えられる可能性があるので,土と砂の吸着力の違いに気付かせるために予め洗浄した砂を用いたり,川砂を用意する方がよいと考えられた。
最後に全児童に授業の感想を聞いたが,課題実験を通して土に興味を持った児童が多かったことがわかり,出前授業の当初の目標は概ね達成できたのではないか。
土壌教育委員会委員長 福田直