ようこそ土壌教育委員会のサイトへ!
土壌は生命と環境を育み,自然や社会環境の中で多面的な役割と機能を果たしています。土壌教育委員会は1982年以来初等中等教育現場における土壌の理解と知恵を育てる教育のあり方について検討してきました。
本サイトでは土壌教育委員会のこれまでの活動および今後の予定などを紹介します。このページを読んでいただいた皆さんは勿論のこと,もっともっと沢山の子供たちや人々が土壌に興味を持つようになることが,私たちの切なる願いです。

高校生による研究発表会(新潟)2025-10-14(速報)
日本土壌肥料学会2025年度新潟大会では「高校生による研究発表会」をハイブリッド形式で開催いたしました.
対面での発表は大会初日の9月17日(水)12:00~13:30にエントランススペースで行いました.当日は全国から10校16課題の発表がありました.約50名の高校生はポスターの前で研究内容を説明し,大会参加者からの専門的な質問やコメントを受けて,熱心な議論を行いました.信濃土壌肥料学会長(北海道大学),および土壌教育委員による審査の結果,最優秀ポスター賞1課題(発表番号H-S08広島県立西条農業高等学校 自然科学部),および優秀ポスター賞2課題(発表番号H-S01愛媛県立伊予農業高等学校 伊予農希少植物群保全プロジェクトチーム,発表番号H-S13山形県立村山産業高等学校 農業科学部サトイモ・芋煮研究班)が選ばれました.発表会後に行われた表彰式では,信濃土壌肥料学会長と森土壌教育委員長(埼玉県立川の博物館)より講評があり,森土壌教育委員長より全発表課題に対して発表証明書と参加賞が手渡されました.次いで,信濃会長より最優秀ポスター賞および優秀ポスター賞の表彰状,副賞が授与されました.発表会・表彰式などの写真,講評は後日掲載いたします.
また, Slackを用いたオンライン発表は9月8日(月)~24日(水)に行い,期間中にチャット形式で質疑応答が行われました.7校13課題の発表がありました.発表期間終了後に土壌教育委員会で優秀ポスター賞の審査を行い、最優秀オンラインポスター賞1課題(発表番号H-L04青森県立名久井農業高等学校 FLORA HUNTERS),優秀オンラインポスター賞1課題(H-L02 青森県立名久井農業高等学校 FLORA HUNTERS & Jr.)が選ばれました.
参加校と発表課題は以下の通りです.
公開シンポジウム「「土の教育」始めませんか?」のご案内
日本学術会議土壌科学分科会では、標記公開シンポジウムを下記の通り開催し、当学会はこれを後援します。開催趣旨、参加申込、プログラム、ポスターなどの詳細は以下のURLを参照ください。
https://www.scj.go.jp/ja/event/2025/389-s-1129.html
- 日時:2025年 11月29 日(土):10:00~12:00
- 場所:オンライン
- 対象:どなたでも参加いただけます。(無料)
- 定員:300名(当日先着順)
- 申込:以下のURLまたは二次元コードからお申し込みください。
(申込締切 2025.11.25)
https://www.scj.go.jp/ja/event/2025/link/389-s-1129_link_1.html
土壌教育活動だより 96-4
日本土壌肥料学会2025年度新潟大会において,ハイブリッド形式で高校生による研究発表会を開催いたします.対面での発表のコアタイムは大会の初日(9月17日)の12:00〜13:30に総合教育研究棟2階のエントランススペースで行います.また,Slackを用いて9月8日(月)~24日(水)にオンライン発表を実施します.対面での発表は16課題,オンラインの発表は13課題です.多くの方の参加と,活発な議論をお願い致します.
委員による土壌教育活動を報告します.丹羽勝久委員(株式会社ズコーシャ)は,6月22日に「千曲川ワインアカデミー(千曲川ワインアカデミー | アルカンヴィーニュ 日本ワイン農業研究所 (jw-arc.co.jp)」で講師を務めました.座学で土壌タイプとワインの品質の関係,土壌診断結果の解釈,土壌水分と醸造用ブドウの糖度,酸度,アントシアニン含量の関係等について講義しました.また,有機物と化学肥料についても話をし,どちらを施用するにも土壌診断結果に基づいて適量を施用すること,決して過剰施用しないことが重要であると説明しました.野外学習では火砕流堆積で削られた傾斜地に立地するヴィンヤード(現在は地形修正により平坦化)と火砕流の影響を受けていない比較的平坦なヴィンヤードの土壌断面を確認しました.傾斜地では黒ボク特徴を持つ砂質土で巨岩が混在していましたが,ブドウ根が1m以上深くまで入っていました.一方、平坦地では著しく堅密な重粘土であり,粒径が立地地形面によって著しく異なることを説明しました.また,ヴィンヤードの責任者から収量は砂質土で高く,産出したブドウの味の凝縮感は重粘土で高いとの補足説明がありました.参加者はアカデミー受講生で対面が21名、オンライン参加(座学のみ)が5名でした.
会員による土壌教育活動を報告します.谷昌幸氏(帯広畜産大学)は,6月3日に帯広畜産大学において開催された,北海道農業女子ネットワーク「はらぺ娘」土壌研修会の講師を務めました.「はらぺ娘」会員を対象に,「土壌の基礎と土壌診断結果の見方と活用方法について」と題した講演を行いました.北海道の農耕地に分布する土壌の種類や特性について学ぶとともに,土壌特性に応じた土壌診断票の読み取り方,陽イオン交換容量や塩基飽和度の意味と改善方法などについて講演を行いました.また、各自の土壌診断票を見ながら,どのような問題や改善点があるかについて演習形式でディスカッションを行いました.参加者は「はらぺ娘」会員12名でした.また,同氏は6月12日に帯広畜産大学において開催された士幌町農業協同組合青年部下居辺支部視察研修において,「堆肥施用によるカリウム過剰に対応した施肥対応と陽イオンバランス」と題した講演を行いました.士幌町における堆肥施用に伴うカリウム過剰の実態について理解するとともに,カリウム過剰に対応した施肥方法,交換性陽イオンバランスの調整方法などについて講演を行いました.参加者は生産者12名でした.石倉究氏(道総研十勝農業試験場)は北海道帯広農業高等学校において出前授業を行いました.はじめに教室内で麦の一生と秋まき小麦の肥培管理法について講義を行いました.次にほ場に出て,秋まき小麦の開花期の様子を観察し,穂数の多少を確認しました.上位葉だけではなく下位葉にも光があたっているかどうかを生徒たちに確認してもらい,光合成効率を最大限発揮するために必要な群落の姿を考察しました.最後に微地形によって茎数および穂数がどの程度変動してしまうかを確認してもらい,深さ50 cm程度の簡易的な断面調査から腐植含量や作土の厚さの違いが秋まき小麦の生育に影響を及ぼしている可能性について考察しました.次回は成熟期の収量調査の学習を予定しています.参加者は農業科学科第2学年38名でした.
本欄では会員の皆様の土壌教育活動も紹介します.情報をお持ちの方は支部選出の土壌教育委員までお知らせください.なお,土壌教育委員会の現在の構成は公式ウェブサイト https://jssspn.jp/edu/ の「委員」をご確認ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第96巻第4号 掲載)