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学会について

部会紹介

第1部門

1-1. 物質循環・動態部会

物質循環・動態に関わる部門として、土壌中から広域までの水・エネルギー・物質動態とそれに関与する基本的な土壌の物理・化学・生物性について取り扱う部会。

第2部門

2-1. 土壌有機・無機成分の構造・機能・ダイナミクス

土壌を構成する各種有機および無機成分の構造あるいは化学的状態、生成・集積・変化・分解の機構、化学反応性および相互作用に関する基礎研究や、環境変動や栽培管理がそれらに与える影響の解析、土壌有機・無機成分の植物生産、物質循環、環境保全・修復に資する機能や新たな分析手法の開発に関する研究等を扱う部会。

第3部門

3-1. 土壌生物の生態と機能部会

土壌生物の個体や群集あるいはバイオマスの動態と多様性および物質動態に関わる各種反応とそれを担う酵素や遺伝子に関する研究、土壌生物間あるいは植物や動物などの高等生物との共生や寄生(病害等)などの生物間相互作用に関する生態から分子生物レベルの研究など、主に土壌生物に関する基礎的な研究が行われている部会。

3-2. 土壌生物の応用と制御部会

土壌生物と土壌の肥沃度や作物生育との関係、土壌生物による養分の有効利用、病害発生とその防除、環境浄化、温室効果ガスなどの物質動態と制御さらには環境変動が土壌生物の動態・機能に与える影響など、農業生産や環境保全に関わる土壌生物の応用的な研究が行われている部会。

第4部門

4-1. 植物の多量栄養素部会

植物の必須元素のうち、多量元素として定義されている栄養素およびそれに準ずる元素(Si, Na等を含む)の吸収、移行、蓄積、および代謝や機能などを生理学、生化学、分子生物学、生態学的に解明する基礎研究および応用研究を対象とする部会。

4-2. 植物の微量栄養素部会

植物の必須元素のうち、微量元素として定義されている栄養素の吸収、移行、蓄積、および代謝や機能などを生理学、生化学、分子生物学、生態学的に解明する基礎研究および応用研究を対象とする部会。

4-3. 植物の有害元素部会

植物の養分吸収や代謝・生理反応にかかわるすべての生命現象に対して有害性を示す元素・成分を題材として、それらの毒性発現機構や植物側の耐性機構などを生理学、生化学、分子生物学、生態学的に解明する基礎研究および応用研究を対象とする部会。

4-4. 植物の代謝成分と農作物の品質部会

植物の物質生産、代謝に関わる諸過程の仕組みやそれらと栄養、環境との関係および収穫物やその代謝成分、品質に関して栄養、環境との関係、それらの改善に関する基礎研究および応用研究を対象とする部会。

第5部門

5-1. 土壌生成・分類部会

国内外を問わず、化学的、物理的、生物学的風化作用と土壌生成過程や、母材、生物、気候、地形、時間などの土壌生成因子と土壌の諸性質との相互関係を中心に取り扱う部会。そのため、粘土粒子表面での物理化学的・(一次・二次)鉱物学的な現象から、生物作用に主として起因する養水分の動態などマクロな現象までサイズもスケールもさまざまな分野を包含している部会。具体的には、FAO/UNESCO, US-Soil Taxonomy, World Soil Classification, 農耕地土壌分類、林野土壌分類、その他の国の分類などの土壌分類基準と分類システムの対比検討、面的な土壌分布の法則性の解明など、土壌そのものの諸性質とその現場での利用・改善などを総合的に検討するペドロジー(Pedology)研究を中心とした部会。日本国内ではあまり知られていない、世界での土壌調査結果報告なども数多く取り扱われている。

5-2. 土地分類利用・景域評価部会

土壌データベース、基本土壌図、ランドサットデータ、GISシステムなどを利用して、各種土地分類利用図の作成、それらを利用した合理的な土地利用計画の立案、土壌の機能評価に基づく分類法の策定などを取り扱う部会。
近年では、土壌―植生―水系などの要因から見た、各種陸上生態系の評価なども研究対象に含まれる。風土と人間生活が複雑に絡み合って生み出される景域の評価までを視野に入れつつ、土壌資源の客観的評価、それらの保全、修復、再生などをキーワードに、グローバル並びに地域的な環境や生態系との関連から、地域社会の在り方や将来の方向性などについての検討も行う。世界中で、自然生態系の荒廃や、大規模農業地帯の農地やいわゆる中山間地集落周辺の農地などの砂漠化(不毛化)が進行している。過去から現在までの地上植被の変遷の歴史を解析すると同時に、今後の変化を予測し、予防し、改善するために必要不可欠な数量データを提示することも重要な役割である。

第6部門

6-1. 水田土壌肥沃度部会

水田土壌が持つ高い生産機能と環境保全機能の解明とともに、高品質の米やダイズ等の転換作物の持続的高位生産を可能にするための水田土壌管理技術の開発を進める部会。
具体的な発表課題としては、水田における有機物施用条件での窒素動態や地力窒素の診断法、不耕起栽培、有機栽培、直播等の土壌管理や栽培法の違いが土壌養分動態や水稲生育に及ぼす影響、高温登熟や低温・寡照等が水稲生育やコメ品質に及ぼす影響、ケイ酸・緑肥等の施用が水稲生育に及ぼす影響等の他に、近年は転換畑における土壌肥沃度の変動や肥沃度管理等の課題も取り上げられている。

6-2. 畑地土壌肥沃度部会

多様な作付体系下にある小麦・ダイズ等の普通畑作物やサトウキビ等の特産作物、露地野菜や飼料作物の栽培土壌を対象に、土壌中の養水分の動態を調べ、環境保全に配慮しつつ持続的な高品質生産を可能にするための畑地土壌管理技術の開発を進める部会。
具体的な発表課題としては、化学肥料、堆肥、緑肥等の施用、あるいは作付体系や耕起法が土壌や作物に及ぼす影響、リン酸肥沃度や窒素肥沃度の解明と診断法の開発につながる形態別の解析の他に、近年は土壌蓄積リンの活用、有機栽培土壌、土壌炭素貯留といったトピックスや海外の多様な畑作土壌を対象とした発表も多い。窒素肥沃度に関連して高分子有機態窒素の実態解明やアフリカ低肥沃土壌を対象としたミニシンポも行われている。

6-3. 園地・施設土壌肥沃度部会

水稲や普通畑作物以外の果樹・野菜・花などを栽培する樹園地・畑・施設土壌を対象に、肥料や有機物の施用及びかん水による土壌中の養水分の動態を調べ、環境保全的かつ高品質作物の連年安定生産を可能にするための高度な土壌養水分管理技術の開発を進める部会。
具体的な発表課題としては、多様な栽培管理下における土壌養水分の動態、土壌養水分環境の変動が作物の品質・収量に与える影響等の他に、近年は、栽培現場においてより実用的な土壌及び作物体の簡易養水分診断法、土壌養分濃度及びバランスに基づく効果的な減肥を含む施肥管理や有機物施用法等の課題も取り上げられている。

6-4. 草地土壌肥沃度部会

永年草地や飼料畑の土壌を対象に養水分の動態解明を行うとともに、環境保全に配慮しつつ畜産物の生産性向上に求められる高品質な飼料作物を安定生産するための土壌管理技術の開発を進める部会。
具体的な発表課題としては、採草や放牧に利用する多年生牧草の生産性向上や品質改善に向けた肥培管理や養分収支、土壌の理化学性への影響評価等の発表に加え、近年はバイオガスプラント消化液の飼料作物栽培への利用など、家畜排泄物の高度な利用技術とその環境影響評価についても取り上げられている。

第7部門

7-1. 肥料および施肥法部会

化学肥料、有機質肥料を始め新しい肥料資材を開発するとともに、これらの資材の理化学的特性・生物的特性、肥料成分の土壌-植物系における動態と植物生育に対する効果を明らかにし、効果的で環境保全的な施肥技術の開発研究に関する部会。

7-2. 土壌改良資材部会

各種の資材を土壌に投入して、土壌の化学的・物理的・生物的性質の改善を図る技術、農業の内外から出される副産物の農業資材への利用技術など、物質循環に基づいた地力維持増進技術の研究開発に関する部会。

7-3. 緑化技術部会

植栽地の土壌管理法の技術開発が研究の中心で、緑化斜面における初期浸食防止剤の利用法、植物生育基盤材の改良と開発、養分や水分の動態把握と制御法等、および都市緑化における人工地盤の改良と評価法の策定などの研究に関する部会。

第8部門

8-1. 環境保全部会

環境保全部会では、食糧生産と密接に関係する土壌環境および水環境の保全・修復、および畜産廃棄物等の環境負荷物質の処理利用に関する研究を扱う部会。
具体的には、土壌環境関連では、重金属、残留性有機汚染物質などの潜在的有害物質による汚染あるいは土壌侵食や塩類集積などによる土壌劣化の実態把握、作物への影響評価および改善方法に関する研究などが行われている。水環境関連では、栄養塩類流出や地下水水質などの実態把握とその改善対策、栄養塩類の動態解析、モデリングに基づく負荷予測ならびに水環境モニタリング手法に関する研究などが行われている。畜産廃棄物関連では、家畜ふん尿施用に伴う窒素等の肥料成分や重金属等の有害成分の環境負荷量の推定、肥料成分を有効に利用するための堆肥化や施用技術、バイオガス化によるエネルギー利用、汚水処理技術に関する研究などが行われている。

8-2. 地球環境部会

地球環境部会では、地球規模での酸性化、富栄養化、温暖化およびオゾン層破壊に関わる土壌と生物の相互作用系の変化の実態を把握し、その影響評価の研究を扱う部会。
具体的には、温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)の土壌からの発生量の推定や発生メカニズムおよびモデルによる発生量予測に関する研究、これら3種類の温室効果ガス発生量と各々のガスの地球温暖化係数を考慮した温室効果ガス発生の総合評価に関する研究などが行われている。また、地球規模での炭素循環の視点から土壌有機炭素の重要性が注目され、土壌呼吸に関する研究や土壌炭素量を増加させる農地管理法とその場合の炭素蓄積量の長期予測モデルや土壌炭素の蓄積メカニズムに関する研究などが行われている。さらに、酸性化の原因物質である硫黄酸化物、窒素酸化物の発生量、湿性沈着・乾性沈着量の実態把握や森林生態系への影響評価に関する研究などが行われている。

第9部門

9-1. 社会・教育部会

土壌に関連する教育内容と学びの場での取り扱い、また学習者の感受や理解の仕方について研究し、土壌への理解を促すための教材や教育方法を開発する部会。土壌が社会や生命の基盤であることの社会的認識を広め、深めることを目的とする。持続可能な社会の発展のためには、土壌の様々な機能が自らの生命や生態系を支えているという事実を深く理解し、関連する事象を評価し、どのように対応すべきかを判断して適切に行動する能力が広く求められる。その実現に向けて、教育内容を整理・提案するとともに、学校教育や社会教育の場を対象に、学習者の観点を重視した教材および教育方法を開発する。

9-2. 文化土壌学部会

人間が自然との関わりや風土のなかで育んできた生活様式、価値観、言語、技術、学問、芸術、宗教などを文化と捉え、土壌との結びつきを研究する部会。歴史、経済、哲学などの多様な視野から研究・評価・提言を行い、土壌・肥料・植物栄養学の発展、土壌に対する倫理観の醸成、ひいては人々が健康で心豊かに暮らすことのできる持続可能な社会の形成に寄与することを目的とする。土壌そのものを分析することで過去の人間活動の諸相を考察する研究や、「土壌・肥料・植物栄養に関する人間の認識・実践」とその歴史、多様性、将来の可能性を探求する研究を含む。


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