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事務局より

2025年度「土と肥料」の講演会 開催概要(2025.5.17)

 2025年5月17日(土)に東京大学山上会館にて開催された通常総会後に、「土と肥料」の講演会が同会場で行われ、44名の参加者がありました。また、会員および賛助会員所属者限定対象のオンライン配信に39名(接続数)が参加しました。

 窒素は作物にとって重要な養分であり、収量や品質への影響も大きく、窒素施肥管理技術は作物栽培にとって重要な技術の一つと考えられます。近年では、栽培期間中の高温が顕著になっており、土壌から供給される窒素量への影響も懸念されます。特に水稲栽培においては、窒素供給量が増えると過繁茂や食味の低下などにつながるため、圃場の窒素肥沃度を把握し、それを考慮した窒素施肥管理技術が不可欠になってきました。そこで本年度「土と肥料」の講演会では、水田土壌における窒素肥沃度に着目し、その実態や窒素肥沃度に対応した施肥技術に関する事例について、2名の方々にご講演頂きました。


 一ノ瀬 侑理 氏(農研機構農業環境研究部門 土壌環境管理研究領域)には「日本の水田土壌における可給態窒素レベルを規定する要因」についてご講演頂きました。一ノ瀬氏は、2600地点にも及ぶ膨大な土壌データを集積・活用することで、可給態窒素レベルの規定要因を解明した結果、土壌温度が特に重要な因子であることが判ったこと、さらに畑地利用頻度も影響していることを紹介したうえで、地域に応じた地力管理戦略の構築が重要であることについて、ご説明されました。


 森次 真一 氏(岡山県農林水産総合センター)には「可給態窒素量の圃場間差を活用した水稲の施肥設計の考え方」についてご講演頂きました。水稲栽培の大規模化・データ活用化を進めていく過程で極めて重要となる、地力に応じた窒素施肥管理技術を構築するために、可給態窒素量の変動要因に関する最新知見や施肥設計の考え方を紹介したうえで、簡便な施肥設計手法としての、可給態窒素量の圃場間差に着目し活用した事例について、その課題や今後の展望も含め、ご説明されました。


 本講演会は、気候変動や肥料価格の高騰に対応するため、圃場の窒素肥沃度の正確な把握に基づく適切な窒素施肥管理技術の重要性について考え、議論する貴重な機会となりました。講演者と参加者の皆様に感謝申し上げます。


日 時:2025年5月17(土)14時30分~16時

場 所:東京大学山上会館/会員限定オンライン同時配信

テーマ:「水田土壌の窒素肥沃度と施肥管理」


講演者と演題:

一ノ瀬 侑理(農研機構農業環境研究部門 土壌環境管理研究領域)

「日本の水田土壌における可給態窒素レベルを規定する要因」

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森次 真一(岡山県農林水産総合センター)

「可給態窒素量の圃場間差を活用した水稲の施肥設計の考え方」

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 なお、講演要旨およびスライドは、後日学会ホームページに掲載予定です。


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